西鉄電車では、2026年4月1日(水)に運賃改定を実施いたします。
引き続き、「安全」と「安心」を基本に、お客さまの暮らしに密着した公共交通サービスを提供すべく事業運営に取り組んでまいります。
運賃や改定率等につきましては、ページ下部「主な改定内容」および「運賃改定後の新運賃」をご覧ください。
これまでの経営状況と取り組み
輸送人員と旅客運賃収入の推移
輸送人員は、沿線の少子高齢化やマイカー移行等により、1992年度をピークに減少傾向で、2024年度はピーク時の約7割となっています。
また、旅客運賃収入は、前回の運賃改定の翌年度(1998年度)をピークに減少傾向で、2024年度はピーク時の約8割となっています。


設備投資
鉄道事業を取り巻く環境が厳しさを増す中、西鉄福岡(天神)駅へのホームドアの設置、近年激甚化している自然災害への対策など、安全の確保のために必要な設備投資を継続してきました。
さらに、新造車両の導入やバリアフリー化の推進など、サービス改善のための設備投資も実施してきました。
そのほか、2022年8月には雑餉隈~下大利間を高架化したほか、2024年3月には雑餉隈~春日原間に桜並木駅を開業し、沿線の利便性向上や周辺地域の活性化に寄与してきました。

経営合理化
集中管理方式導入による駅運営の効率化のほか、施設・車両・駅務部門における外注化、運転部門におけるワンマン化などを実施し、経営合理化を進めてきました。
また、2007年4月には不採算路線であった宮地岳線(当時)の西鉄新宮~津屋崎間を廃止しました。

まとめ
旅客運賃収入の減少に伴い、安全の確保に必要な設備投資を優先に、新造車両への更新やバリアフリー設備の整備など、サービス向上のための設備投資も継続しつつ、積極的にあらゆる経営合理化やコスト削減に取り組んできた結果、消費税率の変更による運賃改定を除き、前回運賃改定を実施した1997年以降、現在に至るまで現行の運賃水準を維持してきました。

運賃改定が必要な理由
今後の設備投資額の増加
今後はATSシステム(自動列車停止装置)や変電所など、列車運行の基礎となる大型基盤施設の更新が必要となります。
また、耐震補強をはじめとした激甚化する自然災害対策など、安全・安定輸送の確保のための設備投資が増加する見込みです。
そのほか、新造車両への代替、朝ラッシュ時の輸送力増強、駅施設の改修・改良やバリアフリー整備の継続的な実施など、お客さまサービス向上のための設備投資、職場環境改善など人財確保のための投資を継続的に実施する必要があります。
結果、2026年度から2028年度の設備投資額は、合計292億円(平均97億円/年)を予定しており、コロナ禍前の約2倍の水準となる計画です。

安全・安定輸送の確保【 2026~2028年度:計211億円(70億円/年) 】
天神大牟田線のATSシステムは、導入から50年以上経過し、機器の生産中止が発生しているため、2026年度より更新を実施します。

変電所は天神大牟田線に13か所、貝塚線に1か所あります。
最も古い春日原変電所は築100年を超え、老朽化しているため建替を実施するほか、その他の変電所も更新を進めていきます。

近年激甚化している自然災害への対策を進めます。地震対策として、警固断層帯が並行する西鉄福岡(天神)~井尻間の耐震補強工事を行います。また、大雨対策として、法面強化を行います。
※法面・・・切土や盛土により作られた人工的な斜面のこと

お客さまサービスの向上【 2026~2028年度:計78億円(26億円/年) 】
お客さまサービスの向上のため、新造車両の導入や老朽車両の代替を進めます。
<天神大牟田線>
9000形車両を2026年度から2028年度にかけて、20両導入する計画です。
<貝塚線>
老朽化が進む600形車両(8編成16両)を、現在天神大牟田線で運用している7050形(9編成18両)に順次代替します。在籍車両数を増加させ、朝ラッシュ時の輸送力増強を図ります。

その他、高宮駅や井尻駅のリニューアルを計画しているほか、「移動等円滑化基本方針」に基づいた各駅のバリアフリー設備の整備、自動改札機・自動券売機など駅務機器の計画的な代替などを推進していきます。

人財の確保【 2026~2028年度:計3億円(1億円/年) 】
事業運営に必要な人財を確保するとともに、従業員が働きがいを感じることができる職場環境の整備を行います。休憩所、浴室、トイレ、空調設備など、老朽化した従業員用施設の更新を実施します。

人件費・経費の増加
設備投資額の増加に加え、人件費・経費も増加する見込みです。
人件費については、鉄道事業を担う人財の確保のため、待遇の改善を実施する必要があります。
また、経費については、電気料金の値上げや物価高騰により、動力費や各種工事に要する費用が上昇しています。今後は、非化石証書付電力の導入などカーボンニュートラルの実現に向けた対応も必要となり、経費はこれまで以上に増加すると見込まれます。

これらの取り組みを推進することにより、運賃改定を実施しなかった場合、鉄道事業の収支は大幅に悪化する見込みです。
今後の収支悪化を鑑みると、現行運賃のままでは、当社の経営努力のみで将来にわたって鉄道事業を安定的かつ継続的に運営し、公共交通機関としての使命を果たしていくことは困難な状況にあると判断し、1997年の運賃改定以来、約30年ぶり(消費税率変更によるものを除く)となる運賃改定を実施させていただきます。
これからも「安全」と「安心」を基本に、お客さまの暮らしに密着した公共交通サービスの提供に向けて取り組み、公共交通事業者としての使命を果たしてまいりますので、今回の運賃改定の実施にご理解いただきますようお願い申し上げます。
主な改定内容

申請日 / 認可日
2025年9月17日 / 2025年12月24日
改定時期
2026年4月1日
対象路線
天神大牟田線(太宰府線・甘木線含む)、貝塚線
普通旅客運賃の設定
初乗り運賃は、現行の170円(鉄道駅バリアフリー料金を含む)から180円に改定します。
各区間の運賃段差は、遠距離逓減制を用いた設定とし、改定後の運賃段差は全区間60円とします。
※遠距離逓減制:距離が長くなるほど賃率(1kmあたりの運賃)が低くなる仕組み
定期旅客運賃の設定
乗車キロごとの改定率を可能な限り平均改定率(通勤定期:15.6%、通学定期:9.0%)に近づけます。
また、家計への負担に配慮し、通学定期の改定率は普通旅客運賃および通勤定期より低く設定しています。
その他
2023年3月27日より実施しておりました、運賃への「鉄道駅バリアフリー料金」の加算は、今回の運賃改定にあわせて廃止いたします。
バリアフリー設備の整備および維持更新につきましては、今後も継続して実施いたします。
運賃改定後の新運賃
プレスリリース
運賃改定に関するQ&A