熊本県と大分県の境、小国町の温泉郷「杖立温泉」は昭和の雰囲気が残るレトロな温泉街。山あいの地に川が流れ、あちこちから湯けむりが立ち上る情緒たっぷりの風景を楽しめます。約1800年と歴史は古く、神功皇后が応神天皇を出産した際、産湯に使われたと伝わります。

福岡～杖立温泉を走る西鉄高速バスは、1日4往復。午前2便、午後2便が運行し、日帰りも可能です。福岡～杖立（大人片道2,940円、往復・ペア乗車券5,300円）に加え、黒川温泉や瀬の本まで運行しています。

＞福岡･福岡空港～杖立・黒川温泉・瀬の本　高速バス情報の詳細はこちら

杖立温泉の春の風物詩といえば「杖立温泉 鯉のぼり祭り」。43回目を迎える今年も4/1（土）にスタートし、5/6（土）まで開催されています。温泉街の中心を流れる杖立川の上空に約3,500匹の鯉のぼりが悠々と泳ぐ様子は圧巻。約50年前、鯉のぼりを揚げる場所が少なかった温泉街で、旅館と民家の軒先にロープを張って鯉のぼりを飾ったことを始まりとするそう。今では大勢の観光客が訪れる一大イベントとなっています。

2023年1月には杖立川を望む休憩スペースが完成しました。以前この場所にあった「スナック川岸」にちなんで「川岸terrace」という名前になったそう。見晴らしのいいテラスはひと休みに最適ですね。

杖立温泉には立ち寄り湯を楽しめる旅館も点在しています。1872（明治5）年から続く「純和風旅館 泉屋」は、その名の通り、和の風情あふれる佇まいが魅力のお宿です。立ち寄り湯は大人500円、子ども300円で利用できます。

こちらの温泉は、メタケイ酸が豊富で保湿成分の高い“美肌の湯”。大きな石を配した「石庭風呂」や露天風呂で源泉かけ流しの温泉を楽しむことができます。

蒸気が充満する木の箱から頭を出して体を温める「むし湯」や、サウナもありました。※お風呂は男女日替わり制です。

湯上りには、杖立温泉のお宿や飲食店の数軒がそれぞれのレシピで作る「杖立プリン」がおすすめ。杖立温泉では、温泉蒸気を使った蒸し料理が古くから盛んで、なかでも甘い茶碗蒸しのような「甘玉子」、今でいうプリンのようなおもてなし料理が親しまれていたことから、杖立プリンが生まれたそうです。

「泉屋」では「ほうじ茶プリン」（300円）を提供。お茶屋さんから嫁いだ女将さんが考案したもので、プリンにも、上にのったジュレにもほうじ茶が使われています。プリンとジュレ、それぞれ異なるほうじ茶を使うこだわりも。ジャージー牛乳を使ったコクのあるプリンはぜひ味わいたい一品です。

杖立川のほとりには、24時間無料で利用できる半露天の小さな岩風呂「元湯」も。ここが応神天皇の産湯として用いられたと伝わるお湯です。混浴で川の遊歩道から見える位置にあるので、入浴の際は注意しましょう。

「元湯」のそばには屋根付きの「もみじ橋」が架かっています。屋根の下には、鯉形の絵馬がずらり。鯉と恋をかけて、恋愛成就の願いを込める人が多いのだそう。

絵馬は橋のたもとにある「ふるや工房」で販売しています。

温泉街には4か所の「むし場」が設けられていて、無料で自由に利用することができます。自動販売機で販売されている卵などの食材を蒸したり、野菜などを持ち込んで蒸してもOK。

この日は旅行で来られた方が海鮮や野菜を蒸してランチを楽しんでいました。高温の温泉蒸気で蒸すと、素材のおいしさがより一層際立つそうです。

杖立温泉を訪れた記念に、「杖立温泉観光協会」でオリジナルのエコバッグづくり（800円）を楽しんでみてはいかがでしょうか。温泉を思わせる青い線だけが描かれていて、入浴を楽しむ人や鯉のぼり、湯けむりなどのスタンプを思い思いの場所に押すことができます。

「杖立温泉観光協会」では、杖立温泉とアートプロジェクト「ワタリドリ計画」がコラボレーションした手ぬぐい（各1,000円）も販売。鳥が温泉に入っているものや、アーティスティックなものなどデザインやカラーも選べます。

観光協会の近くには、無料の足湯もあるので散策途中にひと休みして、のんびりのどかな温泉街を楽しんでみてください。

＞福岡･福岡空港～杖立・黒川温泉・瀬の本　高速バス情報の詳細はこちら