散策のおみやげに、志免町ならではのスイーツはいかがでしょうか。「南里」バス停のすぐそばにある「Rothenburg（ローテンブルグ）」は地元で愛される洋菓子店。ドイツ南部バイエルン州にある中世の街並みが残るまち、ローテンブルクが店名の由来になっているとおり、ドイツをはじめとする西欧のお菓子やケーキを販売しています。

ローテンブルグのまちなみから抜け出してきたようなかわいいお店。「博多全日空ホテル（現・ANAクラウンプラザホテル福岡）」の製菓料理長などを務めたパティシエ・三苫信一さんが1997年に開き、現在は二代目となる息子の三苫信胤さんがシェフパティシエを務めています。

幼い頃からお菓子とものづくりが好きだったという信胤さんも、自然とパティシエの道へ。経験を重ねるにつれ、お菓子づくりの奥深さに魅了されていったそうです。東京にあるドイツ菓子の老舗やフランス菓子のパティスリーなどで働いたのち、ヨーロッパへ渡り、オーストリアやドイツ、スイスでお菓子作りの腕をさらに研鑽。「父が『SAILER（サイラー）』（福岡市南区）の店主・サイラーさんと仲がよく、家族ぐるみの付き合いをしていることもあり、オーストリアにあるサイラーさんの親戚の店などを紹介してもらって働きました」と信胤さんは当時を振り返ります。

ヨーロッパの各地で修業したこともあり、素朴なドイツ菓子から華やかなフランス菓子まで、さまざまなルーツをもつケーキや焼菓子が並んでいます。

「Rothenburg」の名物といえば、“賞味期限2時間”という「スペシャルモンブラン」（650円）。季節商品であり、10月中旬～3月中旬頃の限定販売です。時間が経つと中に入っているメレンゲが溶けてしまうので、2時間以内に食べることが推奨されています。「メレンゲのサクサク感を楽しむために、なるべく早くお召し上がりください」と三苫さん。

注文後にモンブランクリームを絞り、提供されるのも贅沢です。モンブランクリームには和栗を中心にイタリア、フランスの栗をブレンドしているそう。そのほかに、パティシエ御用達の大牟田「オーム乳業」の純生クリームなどこだわりの素材が使われています。

スポンジは使わず、メレンゲ、生クリーム、栗クリームのみというフランススタイルのモンブラン。栗そのものを食べているような風味豊かなクリームと、甘さが控えめでありながら濃厚な生クリーム、そして口どけのいいメレンゲが一体になって、秋の“口福”を感じさせてくれます。

イートインスペースはないので、散策の最後に立ち寄って購入して帰るのがおすすめ。モンブランは人気商品なので、電話で予約しておくと安心です。ホールケーキ（12cm 3,800円、15cm 4,800円）もあるので、お祝いなどにもいいですね。

また焼菓子は、フィナンシェやパウンドケーキなど定番のものから、スイスの「エンガディナー」やオーストリアの「ヌスキプフェル」などめずらしいものまで種類豊富です。

特にスパイスが香るナッツあんを生地で包んだ「ヌスキプフェル」（1個260円）は、これからの季節にぴったりのお菓子ですよ。

異国情緒あふれる焼菓子のなかで志免町らしいものを見つけました。「たてこうサブレ」（2枚入り 280円）は、志免町のシンボルとなっている「旧志免鉱業所竪坑櫓」（「下志免」バス停より徒歩10分）をかたどったサブレ。竪坑櫓の取り壊しが協議されていた2008年頃、存続を願って作られたものです。バターをたっぷりと使い、リッチな味わいに仕上げたサブレは見てかわいい、食べておいしい一品。2枚セットで販売されていて、黒い方は炭鉱にちなんで竹炭を使用したサブレにしているそうです。

この時期だけのモンブランや「たてこうサブレ」など、「Rothenburg」の名物をおみやげにすれば、自宅でも志免町散策の余韻を楽しめそうですね。