2022年にオープンした「高宮庭園茶寮」は、「高宮南緑地」内にある歴史的建造物「旧高宮貝島家住宅」を活用した施設。ウェディングなど特別な日の舞台として、また贅沢な気分を味わいたい時の食事やティータイムを楽しむ場所として利用することができます。

西鉄天神大牟田線「高宮」駅から歩いて5分ほどで入口に到着します。住宅街の一角にあり、落ち着いた雰囲気が漂います。

「旧高宮貝島家住宅」は、「筑豊御三家」と呼ばれた炭鉱主のひとつ、「貝島炭鉱」の創設者である貝島太助氏の弟・貝島嘉蔵氏が1915（大正4）年に直方市に建てた邸宅で、1927（昭和2）年に現在の場所に移されました。筑豊の石炭産業全盛期の歴史を伝える建物として、そして市内有数の近代和風建築として、2017年に福岡市の有形文化財に登録されています。

109年の歴史をもつ母屋は建設当時の造りを活かして改修され、現在はレストランや茶房として活用されています。

客間として使われていた部屋を改装した茶房は、伝統とモダンが融合する洗練された空間。窓の外を眺められるカウンター席やテーブル席、ソファ席で季節のアフタヌーンティーやお茶と和菓子のセットを楽しむことができます。

今回紹介するのは、九州各地の煎茶やドイツ「ロンネフェルト」の紅茶とともに、季節の和菓子やフルーツタルトなどのデザートを楽しめるアフタヌーンティーセット「茶宴」（1人平日4,200円、土・日曜、祝日4,500円 ※写真は2人分 ※席は2時間制）です。

日本茶は鉄の茶釜で沸かしたまろやかな湯で淹れてもらえます。この日は日本茶アドバイザーの資格をもったスタッフの白水さんが担当してくれました。

日本茶は嬉野茶（佐賀）の「副島農園」のお茶を中心に、八女茶（福岡）や知覧茶（鹿児島）、宇治茶（京都）などをラインナップ。時間内は好きなだけ楽しめるので飲み比べするのも楽しそうですね。温かいお茶のほか、冷茶を選ぶことも可能です。

淹れていただいた知覧茶はうま味と渋みのバランスがよく、さっぱりとした味わいはお菓子にも食事にも合いそうです。

パティシエが手がけるデザートは2ヵ月ごとに替わり、取材時は春をテーマにした桜といちごのデザート。季節感を大切にするほか、和のテイストを取り入れるようにしているそうで醤油を使ったマカロンや桜餅などが並んでいました。5・6月は新茶の季節に合わせて、緑茶とメロンを使った初夏らしいグリーンを基調にしたデザートが提供されます。

さらにスタンドのデザートとは別に季節の一皿も。この時は抹茶味のパンナコッタに桜のモンブランクリームを添えた「桜のモンブラン」でした。

レストランの料理人によるセイボリー（塩気のあるメニュー）も和のテイスト。3・4月は南関揚げの稲荷寿司や筍の土佐煮など、日本茶と一緒に味わいたくなる内容です。

茶房からは趣ある庭を眺めることができます。食後は歴史ある建物の見学を楽しむのもいいですね。

また四季折々の風景が広がる庭園はレストランや茶房を利用する人以外も散策可能です（9：00～17：00）。

敷地内には紅葉が多くあり、しばらくは青もみじを楽しめそうですね。便利な立地でありながら自然溢れる場所でゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。