「SUTTA COFFEE 雑餉隈焙煎所」は、2023年7月にオープンした小さな焙煎所を構える自家焙煎コーヒー店。桜並木駅と雑餉隈駅から近い「銀天町商店街」のそばで日々芳しい焙煎の香りを漂わせています。

小型の焙煎機にマニュアル式のエスプレッソマシン、水出しコーヒーのドリッパーを備える店内は、コンパクトながらも機能的です。店を営むのは、90年続く福岡最古の喫茶店「ブラジレイロ」や「DEAN & DELUCA 福岡」で経験を積んだオーナーの黒木奨太さん。20代半ばまではグラフィックデザイナーとして活躍していた黒木さんですが、「ブラジレイロ」に勤めたことをきっかけにコーヒーや人の温もりを感じる喫茶店に魅せられ、この道に進もうと決意したそうです。

出店の経緯やコーヒーへの思いを、黒木さんはこう話します。

「当初はWEBショップで焙煎豆を販売していましたが、運よくこの物件に出合い出店を決めました。昔ながらの商店が並び、幼い子どもから年配の方まで幅広い世代で賑わうこのまちが大好きなんです。このまちの人へ向けてコーヒーを届けたいと考えました。近年は酸味やフルーティな香りを際立たせた浅煎りのスペシャルティコーヒーが注目を集めていますが、僕は老舗喫茶で学んだ甘く芳醇な中深〜深煎りのコーヒーも好きで。毎日飲んでも飽きない、日常にほっと馴染んでくれるような普遍的なおいしさがテーマです」。

最新鋭の焙煎機ではなく、必要な分をこまめに焙煎できる直火式のビンテージ焙煎機「フジローヤルR-101」を選んだのも、そんな理由からだそう。中までしっかり火を入れることで甘味やコク、程よい苦味を引き出しています。2、3日ごとに焙煎しているのでコーヒー豆が酸化することなく、常に新鮮な状態を提供できるのも強みです。

日替わりの味をスピーディーに提供する「本日のコーヒー」（400円）に加え、好みの豆を選んで、KONO式の円錐フィルターで一杯ずつ丁寧にドリップしてもらえる「プレミアムコーヒー」（550円）もおすすめ。コーヒー豆はブレンド豆2種類とシングル豆３、４種類が揃い、豆の購入（100g・700円〜）もできますよ。

取材時には、中深煎りのエチオピアをいただきました。口当たりは柔らかくまろやか。甘味、酸味、苦味のバランスが取れた味わいで、ほっと心が落ち着きます。ラム酒が香る「無花果のファーブルトン」（350円）など、コーヒーのお供にぴったりの自家製焼き菓子もあります。

これからの季節に欠かせない「アイスコーヒー」（450円）は、ハンドドリップして氷で一気に冷やす急冷式。濃いめに抽出した水出しコーヒーで作る「クリーミーカフェオーレ」（550円）や「飲むクリームインカフェゼリー」（650円）も、老舗喫茶スタイルの深みある味わいです。

また、エスプレッソベースで作る「塩キャラメルラテ」や「カフェモカ」（各550円）といったアレンジコーヒーも多彩。子どもには「チョコバナナシェイク」「ミックスジュース」（各550円）といったドリンクも人気だそう。季節ごとに登場する限定ドリンクや、雨の日限定のサービスやメニューも登場するので、訪れるたびに楽しみがありそうです。