八女市の中心部・福島地区は城下町としてはじまり、江戸時代～昭和初期には商人と職人の町として栄えました。その頃の面影を残す伝統的な建築物が立ち並ぶエリアは「八女福島白壁の町並み」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

その一角に2020年にオープンした「NIPPONIA HOTEL 八女福島 商家町」は、歴史的な建築物を活用した分散型ホテル。「喜多屋別邸」、「旧大坪茶舗」の2つの建物に、伝統的な趣をなるべく残しながら現代的な快適さをプラスした全7室を備えています。

フロントがある「喜多屋別邸」は、江戸時代末期に創業し、約200年の歴史をもつ日本酒と焼酎の蔵元「喜多屋」が別邸とした建物。いまも隣接する敷地には「喜多屋」から分家した「福島酒造」の工場があり、焼酎造りが行われています。

「喜多屋別邸」内の「LE UN（ル アン）」は、「JAPANESE TEA & SAKE」をテーマに、八女ならではの食材を取り入れた食事を楽しめるフレンチレストラン。ランチ・ディナーともに宿泊者以外も利用可能です。客室同様、レストランも建物の歴史を活かした造りとなっていて、酒蔵で働く人々の食堂として使われていた当時のかまどのすすなどが残されています。

屋外にはテラス席もあり、春や秋の天気のいい日は屋外で食事を楽しむのもおすすめです。

レストラン「LE UN」では、4月から金・土・日、祝日のランチタイムに「アフタヌーンティーセット」の提供がスタート。季節ごとに内容が変わり、4・5月は昨年発祥600年の節目を迎えた八女茶と福岡のおいしいいちごをさまざまなスタイルで味わえる「八女抹茶と福岡苺のセイボリー＆スイーツ」（1人 4,200円、席は2時間制、前日15時までに要予約）です。

1段目は左から星之音ほうじ茶のくずきり黒蜜添え、苺大福、八女抹茶マカロン、あまおうのアイスクリーム。八女市星野村「木屋芳友園」の「焙煎ほうじ茶　星之音～ほしのね～」を使用したくずきりやロール状の形が可愛らしいいちご大福、八女抹茶のほろ苦さと甘さが調和するマカロンなど八女らしさを感じるデザートが並びます。

2段目はあまおう苺のスープ、星之音ほうじ茶のクリームブリュレ、ミルクレープ、ダブルベリームース。瑞々しいあまおうのスープや福岡県産イチゴを使ったケーキなど、旬ならではの味わいを満喫できます。

3段目は豚肉のパラドカンパーニュ、新玉ねぎのムース 初鰹の炙り、スモークサーモンのクロワッサンサンド、福岡県産あまおうと生ハム。フレンチレストランならではの技が光るセイボリーをスイーツの合間に楽しめます。

さらに、アフタヌーンティーに欠かせないスコーンも。バターが香るサクッとしたスコーンに、いちごそのままの味わいを引き出したジャムが添えられています。

ドリンクは、「牛島製茶」の和紅茶（ストレート、生姜、レモン、柚子）、「木屋芳友園」のほうじ茶と水出し玄米茶、「古賀製茶本舗」の煎茶など7種類の八女茶のほか、コーヒーも用意されています。時間内は好きなだけいただけるので飲み比べしてみてはいかがでしょうか。

「レストランでは八女茶や筑後の野菜を取り入れるなど、地域の文化を大切にした料理をご用意しています。新しく始まるアフタヌーンティーも季節ごとに工夫を凝らしたものを提供予定ですので、ぜひお楽しみください」と支配人の藤本美波さん。

文化と歴史を感じる贅沢な空間で、八女の美食を楽しむひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。