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- 2024/05/13 Mon.
【福岡】茶料 山科<新茶の季節に訪れたい福岡の日本茶カフェ>(1)
日本で古くからおもてなしのひとつとして発展してきた日本茶の文化。本来の味わいを引き出すように淹れられたお茶はおいしさを感じるとともに心が満たされるものです。そろそろ新茶の季節。厳選した茶葉で丁寧に淹れられたお茶の味を堪能する時間を福岡の話題のお店で楽しんでみませんか。全3回の第1回は福岡市赤坂「茶料 山科」です。
朝倉の老舗が開いたティーサロンで上質な茶体験を
福岡の日本茶シーンで話題のお店といえば、2023年7月に赤坂にオープンした「茶料 山科(さりょう やましな)」。西鉄甘木線「甘木」駅のほど近くに本店がある創業77年の茶舗「山科茶舗」が初めて福岡市に構えた店舗であり、ティーサロンでは特別な茶体験を楽しむことができます。
西鉄バス「警固町」バス停から歩いて数分のビルの2階にある「茶料 山科」。控えめな店構えから洗練された雰囲気が漂います。
店内のティーサロンは、落ち着いた照明とお茶の香りにほっと心が落ち着くシックな空間。一人ひとりに目が届く白木のカウンターが配されています。
日本茶への高い知識や経験をもち、国内に40数名しかいない日本茶鑑定士の資格を保有する「山科茶舗」代表の山科康也さん。全国のお茶の産地に足を運び、自ら買い付けた茶葉の選別や成形、ブレンド、焙煎などを行い、さまざまな種類の日本茶を提供しています。「日本茶は身近な存在でありながら『淹れ方がわからない』という方も多くいらっしゃいます。日本茶を味わうために作ったこの場所で味の基準をもっていただき、日常でも楽しんでもらいたいと思っています」と山科さん。自らカウンターに立ち、淹れ方などの話をしながら接客をすることもあるそうです。
お茶の種類は約1か月半ごとに替わり、煎茶や玉露、抹茶、ほうじ茶など10~15種ほどが用意されています。取材時は煎茶のなかから、強いうま味と上品で爽やかな香りが特徴の「八女 品評会さえみどり」(1,800円)をいただきました。お湯を注ぐ前に見せてもらった茶葉は細かくよった形状が美しく香り豊か。蓋のない平らな急須で淹れるので茶葉の様子もよくわかります。波佐見の陶芸作家に依頼したという急須など、茶道具も素敵です。
一煎目は低温で抽出することでうま味成分が溶け出し、はっとするほどの鮮烈な味わいに。イメージする煎茶とはひと味もふた味も違うおいしさに驚くと同時に奥深さを感じます。一煎目より高い温度で淹れる二煎目は、渋みと甘味が増しバランスの取れた味わい。淹れ方によって味が変化することを体感できます。
お茶に合わせて楽しむデザートは東京・神楽坂にある日本茶を使ったデザートコース専門店「VERT(ヴェール)」の監修によるもの。山科さんの友人でもある「VERT」のオーナーシェフ・田中俊大さんと相談しながら、デザートを作っているそうです。写真の「抹茶バスクチーズケーキ」(1,500円)は4種類の抹茶をブレンドしたなめらかなバスクチーズケーキ。添えられたバスクチーズケーキから作ったジェラートや柚子の皮を散らしたクリームと一緒に味わうと味や香りの変化も楽しめます。
デザートを担当するのは、田中シェフのもとで腕を磨いた台湾出身のワン・チシュンさん。注文ごとにカウンターの中で一皿ずつ仕上げています。
さらに三煎目はレモングラスを加えてブレンドティーに。爽やかな香りが加わり、また違ったおいしさを楽しめます。茶葉の特徴に合わせて行われる演出も楽しいですね。
「炭酸桃紅茶」(1,100円)と新メニューの「ヴァシュラン」(2,200円)もいただきました。
「炭酸桃紅茶」は屋久島の和紅茶と台湾の桃香烏龍茶をブレンドしたお茶に柑橘「小夏」のシロップを加え、スパークリングにしたもの。これまでに体験したことのない複雑かつ華やかな味わいが広がり、お茶という枠に収まらないほどのオリジナリティを感じました。ワインやシャンパン代わりに食事にも合いそうです。
「ヴァシュラン」は、焼いたメレンゲにアイスクリームやクリームを詰めるフランス菓子。竹炭を混ぜ込んだメレンゲの中には国産のバラジャムや北海道産の黒豆のコンポート、台湾の紅烏龍茶を使ったアイスクリーム、柚子のクリームなどが入り、トップにはいちごのマリネが。さらに点てたばかりの抹茶が鮮やかな色味を足し、ナイフを入れるのを躊躇するほどきれいな一皿です。メレンゲのサクッとした食感やフレッシュないちご、コクのある黒大豆、爽やかな柚子の香りなどひと口ごとにさまざまな味わいを楽しめます。
お茶もデザートも、五感を研ぎ澄ましてひと口ひと口を楽しみたい、そんな気分になる茶体験です。今回紹介したアラカルトのほかに、日本茶やデザート、自然栽培米の土鍋ご飯やお茶漬けなどのコース(8,000円 ※月・金・土・日曜11:00~限定)もあります。
店内には「製茶所山科 赤坂分店」もあり、「山科茶舗」の茶葉を販売しています。ティーサロンでお茶をいただいたら、きっと普段からおいしいお茶を淹れたくなるはずです。お茶選びの相談をしながら、暮らしに取り入れてみるのも素敵ですね。
●茶料 山科(さりょう やましな)
住所:福岡市中央区赤坂1-5-3 オクターブ赤坂ビル2F
電話:092-235-9457
営業:コース(完全予約制)金~月曜11:00~、アラカルト(予約不要)金~月曜14:00~20:00(OS19:30)、木曜11:00~20:00(OS19:30)
定休日:火・水曜
アクセス:西鉄バス「警固町」バス停より徒歩2分
Instagram: @saryoyamashina
※記載している情報は2024年5月のものです。営業時間や定休日、価格は変更になる可能性があります。価格は特別な記載がない限り、税込みで表記しています。
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